ベルリン国際映画祭でのコンテンツ伝送を支えるColtネットワーク
ベルリン国際映画祭(通称「ベルリナーレ」)は、毎年約30万人を超える来場者が訪れる世界最大級の映画祭のひとつです。Coltは、過去5年以上にわたりベルリン内の広範なメトロエリアネットワークとデータセンターを活用し、各会場のサーバーへのデジタルコンテンツ配信や、スムーズな映画上映に必要なネットワークサービスと接続ソリューションを提供を通じてベルリン国際映画祭のデジタルシネマへの移行をサポートしてきました。
SFが現実に
iPadの前身とされる『スタートレック』のハンドヘルドコンピューターや、『2001年宇宙の旅』のスーパーコンピューターHALのようにチェスで人間を凌駕するAIなど、SF映画が現実を先取りしていた例は数多くあり、現代はかつて「未来のもの」とされていた技術が日常的に使用されています。
量子暗号技術を試すのに、映画祭ほど適した場所はないでしょう。現実がフィクションだと思われていたSF映画に追いつき、量子コンピューティングの時代が始まりました。2021年、IBMはドイツ初の量子コンピュータを発表しました。Sopra SteriaとF.A.Z.研究所の調査によると、ドイツの企業や公的機関のおよそ2/3は、今後10年間に量子コンピューティングがデータ処理に顕著な影響を与えると予想しています。
これにより、安全なデータ伝送に対する需要も高まります。フラウンホーファー電気通信研究所、ハインリッヒ・ヘルツ研究所、HHI、ADVAの協力のもと、フェスティバルネットワークで初めて、異なる暗号化技術を組み合わせた量子暗号化接続をテストしています。このネットワークは、量子コンピュータでも解読することができません。
セキュリティで飛躍的な進化を遂げる
映画祭においては、Coltのネットワークノードとベルリナーレ・パラストの間を量子鍵配送(QKD)ベースの接続で結びました。この暗号化技術は、これまで短距離など限られた条件でのみ実現可能でしたが、現在では可能な限り高いセキュリティ水準を実現しています。
このプロセスでは、QKDシステムが別の光ファイバーを使って盗聴防止鍵を生成し、その鍵を標準化されたインターフェース経由でDWDMシステム(Dense Wavelength Division Multiplexing)へ転送します。
AES(Advanced Encryption Standard)暗号を搭載した確立された光伝送システムを利用できることがメリットで、暗号化と復号化に同じ鍵を使用する対称型暗号化方式です。AESの鍵は、さまざまなビット長を用意しており、256ビットの鍵を解読するためにはスーパーコンピューターで数百万年かかるそうです。なお、安全な量子暗号鍵交換を行うためのQKD装置は、スイスの会社から市販されています。
暗号化で成功するために
現在はまだニッチな技術ですが、公的機関や金融機関では徐々に導入を視野に入れはじめつつあります。また、連邦教育研究省がQuNETプロジェクトを通じて、盗聴防止通信のためのパイロットネットワークを構築しようとしていることも認知度を高める要因となっています。
量子暗号技術が幅広い産業で認知されるようになるのは時間の問題といえます。Coltはこれからもイノベーションの最前線に立ち、お客様がニーズに合わせた最適なソリューションを開発していきます。